脇　　さて、河本さん。

河本　はい。

脇　　12月ですね～。

河本　早いですねぇ。

脇　　あっという間ですよ～。この一年早かったですか？

河本　毎年毎年この季節になると「早いなぁ～」って言ってますけど(笑)

脇　　あははは(笑)

河本　なんせ早いですね。年々早いです。

脇　　年々早い！(笑)何か、噂である人から聞くと、分母が増えてくると、どんどんそのスピードが上がってくるっていう風に聞いて、そうか！と。まぁ、年齢が上がってくるって事は、分母が高くなってくるから、何かその分早くなってくるっていう風に聞いた事もあるんですよ。

河本　あっ、なるほどね～。

脇　　その辺どう感じられます？

河本　いや、まぁ、忙しくはさせてもらってたからなのかなとか。

脇　　そうですね！

河本　もしくは、逆に若い時と違って、待ち遠しいとかが減るじゃないですか？

脇　　あー！

河本　遠足が待ち遠しい！とか。

脇　　行事ごとがね！

河本　待ち遠しい時は、早くこないかな～っていう感じじゃないですか？

脇　　はいはいはい。

河本　でも、その待ち遠しいが無いから、サッササッサと過ぎていくのかなっていう(笑)

脇　　なるほどね！(笑)そんなに変化も無かったら、あっという間に時間が経ってしまったっていうのもあるだろうし。あとは、結構充実してたから、あっという間に時間が経っちゃったっていうのもあるでしょうね。

河本　あるでしょうね。人によるとは思うんですけど。

脇　　じゃぁ、河本さんは、この一年を振り返ってみてどうですか？

河本　いやぁ～。やっぱり、社長を退任して会長職になったっていうのがやっぱり一番大きな変化ですよね。

脇　　あ～。そうですね！

河本　やった事ない事をやるって感じですもんね。

脇　　どうですか？社長業と会長業って、私はどちらもなった事がないのですが、どんな風に変わるんですか？

河本　まぁ、寂しさもありますよね。

脇　　あーそうですか。どういう寂しさですか？

河本　もういらないって思われるのかなとか…(笑)

脇　　あははは(笑)そんな空気ないでしょ？

河本　ないですけど、やっぱり一応権力を手放すわけじゃないですか？

脇　　あ～。まぁ…そうなんですか？

河本　そうですそうです。

脇　　私、会長って聞くと、もっと大きな権力を手にするのかなと思ったんですけど(笑)

河本　いやっ、一応、その事業会社としての事業を回すのは間違いなく社長だと思うので。そこに対しての権限はもう一切ないですもんね。

脇　　あー。そっかぁ。

河本　なので、どうなるのかな？と(笑)それはやっぱり不安というか、心配というか恐怖というか…。ありましたね。

脇　　実際なってみてどうでしたか？

河本　自分の時にこうしておけば良かったなっていうのは、辞めて初めて気付くものなんだなっていうのはありますね。

脇　　あー。俯瞰で見てっていう事ですか？

河本　そうですそうです。それが、逆にアドバイスができるのでそれは良かったかなと。

脇　　あっ、なるほど！

河本　辞めてみないと分からないものだなっていう(笑)

脇　　言える範囲で結構なんですけど、その中の一つでこういうのありましたとかっていうのはありますか？会社としてこういう風にしておけばっていう、どの会社にも当てはまると思うんですけど。

河本　あー。事業っていう意味ではなくて、組織の作り方とか関わり方で、「あっ、自分はこうしてたんだな」っていうのが敢えて分かったから、それのメリット、デメリットってあるじゃないですか？

脇　　はい。

河本　僕の場合、僕の近い人間にある程度権限を渡してたので、直接その人の部長とかに何かを言ったりする事を極力しなかったんですね。

脇　　はいはい。

河本　それのメリットとしては、組織としてそれは正しいだろうっていう感じですけど、デメリットは現場への直接的な社長の影響力が発揮しにくいなっていう。

脇　　あ～…。

河本　なので、今は、できるだけ社長自身が、部長とか、もしくはその下でもいいから、直接影響力が発揮できる体制の方が、自分ができてなかった事なので、それの方が良いんじゃないかっていう事で、できるだけそっちの方でやってもらえるようにしてますね。

脇　　あっ、そういうものなんですね～。

河本　まぁ、何をやってもメリットがあったらデメリットもあって、それがメリットしかないなんてあまり無いじゃないですか？

脇　　そうですね～。

河本　デメリットしかないっていうのもあまり無いので。なので、方向性とか方針に対して、どっちが最適かっていう話なだけだと思うので。それをまた試しながら、より良い組織になっていけばいいんじゃないかなとは改めて思いましたね。

脇　　その状況によって、臨機応変に変えていくっていうのも大事な事かもしれないですね。

河本　大事ですけど、ただ、あまり変え過ぎるとまた「何がしたかったんだっけ？」みたいになりますし(笑)

脇　　あっ、そっか(笑)周りの方達も困惑する？

河本　そうそうそう。かと言って、硬直化するのも当然良くないと思いますし。あとは、コンセンサスを取るのがやっぱり大事だなっていう。

脇　　コンセンサスってどういう意味なんでしょう？

河本　合意形成。こういうやり方でこうやっていく、その目的はこうでとかっていうように、そういったところにちゃんと納得してもらうというか。

脇　　あー、なるほど！

認識の共有が大切

河本　命令できたとしても、納得した上でやるのと、やらされてやるのとではやっぱり全然違うので。気持ち良さも違いますね。

脇　　はい。やる気も変わってきますよね？

河本　そこの説明っていうのは、やっぱり今の時代必要なんだろうなって思いますね。

脇　　私も会社員をやっていた時に、これをやらされてる意味が分からないと思ってやってる時は、すごくモヤモヤ気持ちが入らないけれども、上司によっては、「この仕事の目的はこれだから君にこれを頼むんだよ」って言われたらやる気になるっていうのはありました。

河本　やっぱり、人ってそんなもんだと思いますよ(笑)

脇　　そうですね(笑)

河本　でも、逆に、この人だからこそお願いしたいとか、この人だからこそこれができるとか、要するに、個性ですよね。さっき言った前半の方は個性無しじゃないですか？後半は個性だらけじゃないですか？

脇　　はい。

河本　この相反するものを両立させないといけないわけでしょ？これが、個がなくなる方に傾くとやっぱり離職率が上がるし、個性が強いだけになってくると、今度売上が上がらなくなりますし。

脇　　あー。そういうものなんですか？

河本　うん。その最適化というか、相反する矛盾をやってるんですよっていう。それを共有しておかないと、今どっちにバランスがきてるのかなっていうのとかが、共同で認識できなくなると感情論になっちゃうので。そういう目に見えないところですけどね。そういうところは苦労しますよね。

脇　　でも、バランスを取るってめちゃくちゃ難しいですね。

河本　難しいですよ。だって、結局、中小企業の場合、そのバランスを最後社長一人が取ってるわけでしょ？

脇　　うわぁ～。

河本　ちゃんと社員に理解してもらわないと不可能ですよね？だって、矛盾してるんですもん(笑)

脇　　そうですよね。矛盾してる事を納得させるってすごく難しいですよね…。

河本　そうです。個がないんだったら名前要らないじゃんっていう話じゃないですか？Aさん、Bさん、Cさんでいいわけじゃないですか？でも、そんなん嫌じゃないですか？どこで納得してどうそれを正当化するのかっていうところは、あまりオープンに議論されてきてないと思うけど、組織である以上そこは全員で考えていくべきなんじゃないかなっていう。
だから、全体での忘年会なり懇親会なりで、いわゆる、共同体的なイベントってやっぱり大事なんだなっていう。

脇　　それ思いますね。最近は無くなってきてますけど。まぁ、コロナはしょうがないとして、そういうのに参加したくないっていう若い人達もすごく多いみたいですけど。やっぱり必要じゃないかなって私も思いますね。

河本　参加したくない人多いって言いますけど、僕の見てる限りは皆参加したがってますけどね。

脇　　あっ、そうなんですか！？マインズさんの社員さんは？

河本　うちもそうですし、他の会社さんとかでもやっぱりそりゃそうだよねっていう。余程、上司が嫌いとかだったらね…あれでしょうけど(笑)

脇　　あははは(笑)

河本　そんな昔みたいなゴリゴリの体育会系ばかりのって、もうそんなの今はパワハラとかセクハラとかもある程度認知されてますし、それでも体育会系も残ってますけど、やっぱり昔よりはマシですもんね。

脇　　そうですね。やっぱり、交流がとれて、仕事場以外でも腹割って話ができた方が仕事もやりやすくなるとは思いますよね。お互いに。

河本　やりやすくなると思いますし、アイデンティティ…って言ったらちょっとややこしいか。本人の自尊心の源となってるところ、要するに、自信とか自尊心とか自己肯定感とかのどこを拠り所にするのかっていうところが、結局安心感とかに繋がってくるわけなので。そりゃ、何だかんだ国がドン詰まってる以上、会社が踏ん張るしかないのかなと(笑)

脇　　そうですよね！国がドン詰まってる以上っていうところでいくと、最近、物の値段がすごく上がってきて、でも給料は上がらないっていうのが全体の流れじゃないですか？これはどう思われますか？

河本　いや～…最近、今年ですかね。それが一番よく言われてますよね。経済的な話で言うと。20年前から分かっていた事ですけどね。

脇　　えっ、そうですか！？

河本　そうですそうです。分かってたのに手を付けてなくて、もう顕在化してとうとう隠し切れなくなってしまったって言った方が正しいんじゃないでしょうかね。

脇　　あ～…。

河本　人口が減る、少子高齢化なんて20年前から分かってた事、30年前から分かってた事ですし。

脇　　言われてはいましたね。

河本　それに伴って、社会保険料が絶対に上がるっていうのも、これも理屈考えたらその通りじゃないですか？

脇　　あ～。はい…。

河本　それに、働かない人が増えたら税金が増えるのはそりゃそうだろうっていう(笑)現役世代の負担が増えるのもそりゃそうでしょうと。

脇　　それがここ最近、目に見えて感じるようになってきたなって。

河本　もう隠す気が無くなったんじゃないですかね(笑)

脇　　出されちゃって…(笑)

河本　ただ、見事に給料がね。こんな国世界にないですからね。

脇　　上がらない？上がってない？

河本　GDPの成長率でいったら、内戦中の国より低いらしいですからね。アフリカの。

脇　　えー！！これは困りましたね…。

河本　見事に横ばいっていう…(笑)

脇　　じゃぁ、もうどうするかっていうのは、自分自身で何とかしなきゃいけないっていう感じですか？

河本　自分達で考えないといけないっていう感じですね。最早、全体としての何か空気とかマインドが変えれる事ができるのかと。強烈なリーダーシップを求めたいですけど、そういう強烈なリーダーシップを持って出てきた人の杭を打つ風習があるじゃないですか？(笑)

脇　　あ～…。

河本　だから出ないんですよ。

脇　　辛いですね～…。

河本　辛いですね。ただ、個別で言うと、全然良い事もいっぱいあると思うので。やっぱり、とにかく自分達で考える、自分達で行動するっていう事をやっていかないと、何かやってくれるだろうっていうのはもう無いなっていう風に思いますね。

脇　　事業にしても、何か色んなやり方っていうのが増えてきてますもんね。この間も、物だったらネットで最初は売って、そこから商売にしていけばいいじゃないかって河本さんからアドバイス頂いたんですけど、色んな方向は増えてはきてますもんね？

河本　増えてます。極端な話、楽天って商店街のオンライン化じゃないですか？

脇　　はい！そうですね。

河本　商店街で物をお客さんに売るっていうのはあったわけで、それがネットの技術によってああいう形でより便利になったっていうのはありますけども。だから、形は変えながらも、色んなやり方で稼いでいかないとそりゃ食べていけないじゃないですか(笑)

脇　　ええ。ええ。

河本　それが、今まで通りの過去のやり方だけでできる時代じゃないなっていうのは、その通りだなって思いますけど。

脇　　今、そういう意味でも色んな情報化社会で、情報を上手く使えば、自分の新しくやりたいビジネスとかもそんなに投資をせずに始められるっていう事はありますよね？

河本　ありますね。お金も昔より集めやすくなってますね。

脇　　あー。

河本　クラウドファンディングなんかそうじゃないですか？昔だったらあんもの考えられないですもんね。

脇　　はい。

河本　いわゆる、応援、予約販売とかいろんな形で。予約販売ができるんだったら、作ってしまったけどどうしようとかがないじゃないですか？

脇　　そうですね。

河本　ニーズがあるかどうか先にリサーチできるわけですし。

脇　　在庫を抱える事もないですしね。

河本　そうです。まぁ、残念なのが学校の授業でそういった科目がないっていうのがね…絶対いるのに(笑)

脇　　そうですよね。これからの時代は特に。

河本　うちの子供にもタブレットは学校から支給されてましたけどね。いつ使ってるのかな～とか思いながら(笑)

脇　　あははは(笑)もっと有効的な使い方っていうのをね。親御さんもご家庭で教えてあげた方が、もしかしたら良いのかもしれないですね。
さぁ、マインズのわくわくキャリア相談室、本日はこの辺りでお別れとなります。河本さん、ありがとうございました。