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【第169回】「人に教える」と「人を育てる」の違いとは? 2022.5.12放送分

ブログマインズのわくわくキャリア相談室

こちらのブログではFM GENKI(エフエムゲンキ)にて放送中のラジオ番組、【マインズのわくわくキャリア相談室】のトーク内容をご覧いただけます。

■放送日時  第2・4木曜日 9:29~9:49
■提  供  株式会社マインズ

 

メインスピーカー

株式会社マインズ  代表取締役 会長 河本 尚吾

MC

FM GENKI  パーソナリティー 津雲 あおい さん 

 

「人を育てる」ことを見直してみる

津雲 さて、河本さん。今日の話題なんですけれども。

河本 はい。

津雲 例えば、4月に入社して、今研修を受けているっていう方もいらっしゃるかなと思うんですけど。河本さんが、人を育てるとか、何か自分が持っているものを継承していくとか、そういう場合に何か考えてらっしゃることとかはあるんですか?

河本 うーん。まぁ育てるのは、多分、僕はそんなに上手じゃないです。

津雲 あっ、そうなんですか?

河本 何かね、仕事を教えるって、例えば、自社のパソコンのシステムの使い方とか、それってマニュアルで教えたりとかあるじゃないですか?

津雲 はい。

河本 そういう仕事を覚えてもらうっていうのはあると思うんですけど、育てるって、何かもう少し大きいと言うか深いというか。

津雲 あー、なるほど。

河本 人間性みたいな感じのところがあるじゃないですか?

津雲 教えるっていうのと育てるっていうのは、似てるようでちょっと違うぞと?

河本 うん、と思うんですね。でも、その「育てる」っていう意味で言うと、多分どこかでいろんな人が言ってるかも知れないですけど、基本的には組織ってやっぱりシステムで人を育てていくんだろうなと思うんですよ。

津雲 システムで?

河本 うん。役職が人を育てるとかいうじゃないですか?

津雲 はい。

河本 その役職に見合った仕事ができるようになってくるとか。係長だったのが課長になったりとか、課長が部長になったりとか、それによって自分が育っていくっていうんですかね。

津雲 立場が人を作っていくっていう感じですかね?

河本 そうそうそう、っていうのもあると思うんですけど。もう一個は、それって結構合理的って感じじゃないですか? 上司部下の関係だし、自分が課長にここまで求めるとか、社員はここまでやらないといけないとか、その中で上司が教えるとか、まぁまぁ普通じゃないですか?

津雲 そうですね。役割的にはそれが自然と言うか。

河本 もう一個が、いわゆる徒弟制度。

津雲 徒弟? またちょっと懐かしい感じがする言葉ですね(笑)

河本 そう(笑) 先輩後輩はちょっと違うけど、まぁ、鉄の掟じゃないですけど(笑) 上下関係とはちょっと違う掟っぽい感じの。

津雲 運動部とかってそういうのありそうですね(笑)

河本 うん。師匠と弟子みたいな。

津雲 あー! はい。

河本 そういう形での人の育て方と多分2パターンあって。

津雲 あー。その教えるのと育てるのはまた違うし、育てるのにも弟子になるんですかね? 師匠と弟子?

河本 兄弟子、弟弟子とか言うじゃないですか?

津雲 はい。それと上司と部下はまた違うぞと?

河本 ちょっと違うんじゃないかな。まぁ、その師匠と弟子って、何か合理的じゃないじゃないですか? 誰が決めたのかもよく分からないし。

津雲 あははは(笑) えっと、師匠が決めたんですよ。

河本 そう。その師匠が決めたかもしれないですけど(笑) 弟子になることを決めるのって、本人じゃないですか?

津雲 あっ!「弟子入りさせてください」と?

河本 そう。それに、辞めるのも自由じゃないですか。

津雲 そうですかね。

河本 「別の師匠のところへ行こう」でもいい訳じゃないですか?

津雲 あっ、なるほど。

河本 普通の会社の組織って、上司を選べる訳じゃないし、普通に部下を選べる場合も少ないと思うんですよ。自由に選べる人もいるかも知れないですけど、一般的には少ない。

津雲 そうですね。

河本 一見、目的達成の為の合理的なのはシステムだと思うんですけど、人的に言うと、師匠弟子とか、見えない掟っぽい感じのところの方が、強固なんだろうなと思うんですよ。

津雲 あー。絆みたいな感じですかね?(笑)

河本 そうそうそう。絆みたいなものですかね。そういうのって他の人には見えないじゃないですか?

津雲 はい。

河本 大組織とか、大人数になったら、そんなのできる人もいるのかも知れないですけど、少なくても僕は無理です。そんな何百人も、そういう師匠弟子とか、兄弟子、弟弟子関係でおれるのはあまり想像つかないですけど。そりゃ、どうしてもシステムになっちゃうんだろうなとは思うんですけど。僕は仕事を教えるっていうようなことはどちらかと言うと下手くそで。

津雲 あっ、そうなんですね! 先程もおっしゃられたけど、何か意外です…。

河本 下手くそなんですよ。

津雲 へぇ~。

河本 その代わり、自分自身のビジョンなり価値観なりとかっていうところを、自分が実践したり、そういう人間性みたいなものを一緒に共有していくと言うか、育んでいくと言うか、そういうことによってでしか育てられないと言うか。

津雲 あー。じゃぁ、先程の2つで言うと、師匠と弟子タイプで人を育てていくことが多いと? 

河本 多分。そういう接し方しかできないと言うか。だから、多分付いてくる側も僕の嫌なところとか「それおかしいんじゃない?」っていうところは絶対あると思うんですよ。

津雲 ほぉ。

河本 まぁ、でも、そりゃお互い様でしょみたいな(笑) それを越えて目指さないといけないと言うか、目指したいものがあるから。それの旗振り役と言うか、先導者として走って行くから後ろは頼む! みたいな。

津雲 へぇ~!

河本 それ位の凄いザックリとした、丸投げにも近いようなやり方ですね(笑)

津雲 今日は意外なことが2つ出てきました!

河本 そうですか?

津雲 はい。河本さんが教え方があまり得意じゃないっていうのも意外ですし、その育て方のタイプが、どっちかって言うとシステムで合理的にバリバリやって行くぜ! のタイプだと勝手に勘違いをしていたんですが。そうじゃなくて、割に熱い男なんだっていうことが分かりました!

河本 あー。そうですね(笑)

津雲 あははは(笑)

双方の熱量に合わせた育成計画が大切

河本 やっぱり、そのシステムの場合は、多分人が辞める場合でも、一般的には裏切られたと思わないはずなんですよ。代わりを入れればいい訳ですし。

津雲 はい、次! はい、次! ですね。

河本 そう。でも、それで部下に辞められたりして、何だったら自分が信用していた人に辞められたりしたら、どうしてもそういう感覚あるじゃないですか? 人って。

津雲 あ~辛い…。

河本 だから、無意識に上司・部下を越えた徒弟制度的なものを求めちゃうんかなと思います。でも、それって結構危険で、やるんだったらとことんやらないと、全身全霊をもって育てないと、適当にやってたら向こうも分かるのでね。

津雲 あー。この師匠は、ちょっと付いていくには・・・ていう感じですかね?

河本 そうそうそう。そんなにこっちのこと思ってくれてないなと。

津雲 はい(笑)

河本 じゃぁ、こっちもそんなに思わなくていいかみたいな。そんな感じになっちゃうんじゃないかなって。

津雲 そうなると、ちょっと辛い感じはしますよね。つまりは、師匠と部下の関係になってしまったり、上司と弟子の関係になってしまうと、ちょっとこのやり方は崩れてくるって言うか。

河本 そこに結構、ハラスメントの胆があるんじゃないかなと。

津雲 ハラスメント?

河本 パワハラとか。セクハラは今はあんまりないかも知れないですけど、モラハラみたいなのとか。そういったものが、自分がそういうつもりなのに、相手は違うつもりじゃないですか。

津雲 俺は師匠のつもりだったけど、部下と言うか向こうは。

河本 そう思ってないと(笑)

津雲 あははは(笑) そうなると、受け取り側も「だって、師匠らしいことしてくれてないじゃないか」っていうことになる訳ですね?ただ、上から一方的に言うだけで。

河本 そうそうそう。師匠だったら弟子に怒ることもあるかも知れないけど、それを上司がやっちゃうとダメ。

津雲 ハラスメントになっちゃう訳ですね?

河本 そうだと思うんですよ。向こうが受け止めてくれるだけの人間関係とか、間柄とか、まぁ言ったら自分の分身じゃないですけど、それ位の気持ちで面倒見ようとか思ってるんだったら、そんなの絶対分かるじゃないですか?

津雲 まぁ、技術とか魂を継承していこうとしてる訳ですよね?

河本 そう。でも、そうじゃなかったら…ね?

津雲 それは悲しいミスマッチですね(笑)

河本 そう。だから難しいですよ。

津雲 それってどっちが気を付けてなくちゃいけないんですか? ってなると、やっぱり上の方が気をつけていなくちゃいけないんですかね?

河本 まぁ上でしょうね。

津雲 うーん。

河本 どっちの関係が良いか、逆にちゃんとそういう風に比べて、面談の時に確認していくとか。

津雲 「君、弟子タイプ?」みたいな(笑)

河本 うん。でも、上司だからって全員師匠になれるとも思えないですしね。

津雲 あー。もしかしたら、その上司部下のタイプが合ってるし、そうするべきなパターンも?

河本 その方が大半だと思いますよ。

津雲 あー。

河本 組織が全部どっちかの二色になるのかと言ったらそうじゃなくて、絶対にグラデーションがあると思います。

津雲 グラデーション? はい。

河本 その中でも、そういう人間関係と言うか、繋がりが強いところっていうのは、やっぱり爆発力と言うかパワーと言うか、そういったものが結構生まれてきたりするんだと思います。揉めたりもするかも知れないですけどね。

津雲 よりその上と言うか、技術とか精神を伝えていこうとする側の方の気持ちが、ダイレクトに伝わると言うか。つまりは、それだけ意思決定がちゃんと下まで伝わるということでもあるんですかね?

河本 うん。その悪い風に、いわゆる師匠っぽく「頑張れ」とかって言って、残業代払わずにコキ使うみたいな。

津雲 あははは(笑)

河本 それで疲れ果てて辞めちゃうみたいなのが、ブラック企業じゃないですか?

津雲 そうですね(笑)

河本 上司・部下と師匠・弟子の良いとこ取りをして、すり減らさせたのがブラック企業だったと思うんですけど。

津雲 なるほど! その説明でとてもよく分かりました(笑)

河本 そこには法律の改正とか強化とかがあって「パワハラとかダメよ」と。「残業代はちゃんと払わないとダメよ」とか、「残業には上限あるよ」とか、ある程度双方が守られるように守られるって言うか。一般の社員が守られるようになってきた中で、どうマネジメントしていくか。その成果を出す為にどうマネジメントしていくかっていうのは、当然上に問われてる話であって、怒って言うことを聞かせるとか、師匠の一側面と言うか、それ以上にその子の未来のことを考えないといけないし(笑) そこまで全部やるからこそ受け入れてくれる場合もあるかも知れないけど。それ以上に自分に厳しくないといけないと思うし。

津雲 なるほど! 師匠は、ただ偉そうに言ってるだけではなくて、先程もおっしゃったように、全身全霊で全力で弟子の人生までを引き受けるくらいの?

河本 じゃないと、相手も大体分かるでしょ?

津雲 何か透けて見えてくるものがありますよね。

河本 そう。透けて見えるんだから、バレないと思う方がおかしいと言うか。

津雲 うんうん。

河本 だからまぁ、自分のできる限りで、全身全霊でやれば、それはそれで伝わるはずなので。あとは、今度答えてくれない人だって出てくるかも知れないし(笑)

津雲 そうですね(笑)

河本 裏切られることなんて、当然あるかも知れないですし。片方がそう思ってても、もう片方がそう思ってなかったら、それはどうしようもないので。

津雲 はい。まぁ、だから本人は弟子のつもりでいても、上の方が上司タイプだったりすることもあるかも知れないし。どの組織がどのタイプが良いとかっていうのは、ザックリとは決まってはない訳ですよね?

河本 あまり業種とかは関係ないんじゃないですかね。特に上に行けば行くほど。結局、信用できるかどうかじゃないですか? お互いが。

津雲 あー。なるほど。

河本 要するに、裏切らないと思えるかどうかじゃないですか? それって日々のアレじゃないですか? 「アレって言ってもどれなの!」っていう感じですけど(笑)

津雲 あははは(笑)

河本 その日々の行動の積み重ねと言うか。その極限状態をどう一緒に対応して、乗り切っていったかとか。まぁ、長い目で見たら分かると思うんですけど。

津雲 やっぱりよく考え、よく話し合い、すり合わせていった方がいいっていうことなのかも知れないですね?

河本 まぁ、でも少なくとも、言ってることとやってることが違うかったらダメでしょ?

津雲 あー。でも、何かそうなりがちな人も、いるような気がするので…。

河本 それは多分、弟子を募集してもこないと思いますね(笑)

津雲 あははは(笑)

河本 嫌ですもんそんなん(笑)

津雲 そうですよねー。ちゃんと言ってることとやってることを一致させて、その上で自分の持ってるものを次の世代に渡していくという?

河本 それが結局、弟子がちゃんと育つっていうのが、渡せたっていうことですからね。そういうことだと思いますけどね。まぁ、合理的に考えるんだったらシステムの方が早いでしょうし、大量にできるでしょうし。だけど、逆に脆さもあるのかなと。

津雲 なるほどー。

河本 熱いのはどっちやみたいなね。

津雲 はい。皆さんはどっちなんでしょうかね(笑)
マインズのわくわくキャリア相談室、本日はこの辺りでお別れです。次回は5月26日の放送です。河本さん、ありがとうございました。

河本 ありがとうございました。